Ich gehör nur mir!

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【2019/10/29S】ストーリー・オブ・マイ・ライフ@大千穐楽~3本の指に入る最高のミュージカルに出会った~

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前日の夜に急遽思い立ってチケット買って観てきた。即完で人気の大型作品が良しとされているのかもしれないけれど、こうやって思い立った時にチケットが買える環境ってとてもありがたい。

 

 

千穐楽の役替わりは元基トーマス×万里生アルヴィン。本人のキャラクターから察するに、万里生トーマス、元基アルヴィンのが似合ってそうかなあと思っていた。でも、ソワレの組み合わせも素晴らしくて、こちらで観れて結果的に良かった!!!

 

万里生さんはわたしの中で貴公子のイメージしかなかったのを良い意味でぶち壊してくれた。こんな演技も出来るんだという驚き。目の前にいたのは天使のようなアルヴィンそのもの。無邪気に言葉を発し、笑い、駆け回る。彼はずっと変わらない彼のまま。汗を拭く姿でさえも可愛らしくて、目が離せなかった。雪の中の天使、好きな曲だなあ。

予習はほぼなしの状態で観たので、トーマスと一緒にアルヴィンの死の真実を探る物語なのだと思っていた。でも途中で、これはトーマスの物語なのだと気付かされた。

アルヴィンがまっすぐで無邪気であればあるほど、トーマスの姿が痛々しい。出会ったばかりの頃、一緒に仮装をして遊んでいたのに、大学を出て、仕事で成功を収めて、愛する人と出会い、たくさんのものを得る代わりに大切な何かを忘れて、失っていく感覚。アルヴィンに辛く当たる姿を見ていて辛い。自分にもこういう場面、思い当たるような気がして。

元基トーマス。全てがツボで刺さりまくった。少し神経質で、周りと違うことを恐れて、普通の人生を生きようとした人。トーマスが少しずつ大人になっていき、取り巻く環境や心境が変わるにつれ、いつまでも小さな街の本屋で変わらないまま生きていくアルヴィンと距離を置こうとする。それは拒絶というよりもトーマスにとってアルヴィンが眩しすぎて、避けていたような感じがした。

トーマスがアルヴィンの死の真相を知ろうとする時、アルヴィンがトーマスに向けて言う、その場にいなかったからその物語はここにない、みたいなセリフ。

初見で予習していなかったからこそ、それを聞いた瞬間ハッとさせられた。弔辞を書くために必要だったのは、トーマスとアルヴィンの物語。弔辞を「読む」のではなく、物語を「語って」欲しかった。アルヴィンの父の弔辞のくだり、何度かリプライズありますが、アルヴィンの「これだけ?」の言い方が悲しくてひんやりと冷たくて、

 

いろんな解釈が出来る余白のある作品だから、きっとわたしとは違う感想を抱く人ももちろんいるだろうし、わたしの感じたことは意図と違う的外れかもしれないけれど、わたしにとってはトーマスの物語だった。そう考えると、ポスタービジュアルのキャッチコピーがストンと入ってくる。

 

すっごく良い作品に出会えた。間違いなく2019年で一番刺さった作品。

この舞台を観たこの衝撃をいつまでも忘れたくない。