Ich gehör nur mir!

好きな舞台を好きなだけ。わたしの観劇ライフはわたしだけのもの!

【2018/12/10】マリー・アントワネット@御園座初日

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マリーアントワネット、御園座公演初日を観に行ってきました!!役替わりは以下の通り。

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マリー・アントワネットは観に行くかどうかずっと迷っていたけれど、結果的に行ってよかった。

豪華なキャストが皆さん素晴らしいのはもちろんのこと、強烈なメッセージに頭をガツンと殴られたような衝撃でした。ラストは涙無しに観ることは出来なかった。

 

1幕はマリーの純真であるがゆえの無邪気さや自分勝手さが観ている人を苛立たせる。だから自然にマルグリットの不幸な境遇と「許さない」という強い気持ちに感情移入する。2幕は、マルグリット側に知らないうちに立っているからこそ、マリーの辿る運命を目の当たりにした時に、グッと感情を揺さぶられる。民衆はなんと愚かで軽率で、そして流されやすいのか。マルグリットは人より賢かったから、オルレアン公に利用されてしまった。そしてその事に最後になってようやく気づく。裁判のシーンで怖いなと思ったセリフがありました。でっち上げの証言をしたジャック・エベールに対して、彼は愛国者でジャーナリストだから信頼出来るというようなことを言うんですよね。

マルグリットが言うように、ルイ・シャルルの母であるマリーが息子をベッドに連れて行くのは当たり前のことなのに。舞台の中のセリフなのにゾッとさせられました。

当時は新聞の記事もそうだし、ジャーナリストのような立場の人の言葉に煽られて起きた出来事も数多くあったのでしょう。

今もネットニュースなどでフェイクを信じてしまう人もいるわけだから、いつの時代でも、自分が生きている世界で何が起きているのか、何が真実であるか、人に流されずにきちんと自分の目で見極めていかなくてはならないとフィナーレのナンバー「どうすれば世界は」を聴きながら強く感じました。

 

以下、キャストで特に印象的だった方々の感想。

 

マリー・アントワネット花總まりさん

特に素晴らしいなと思ったのはマリーの母としての姿。そして、ルイ処刑後の白髪になってしまってからの演技。豪華な衣装で着飾っていなくても彼女が纏うオーラ、まさに最期の瞬間まで気高く生きた王妃そのものだった。ラストの「私の罪はプライドと無知」という言葉、重みで観ている方が押しつぶされそうだった。

フェルセンの前ではただの無垢な少女なのに。いじらしいけれど見ていてたまに呆れてしまう。マリーが作った小さな農村でのピクニックの場面が好き。実際の彼女がそうであったように劇中の唯一癒される空間でした。あの時が永遠に続いてほしかった。

 

フェルセン伯爵:古川雄大さん

まず何よりも軍服姿が美しいこと!!スタイルが抜群に良いので1人異次元の輝きを放っていました。

出番もナンバーも多く非常に目立つ。フェルセンは根っからの優しい人なんだろうな。白髪のマリーを目の前にしても、動じない(ように見える)変わらない優しさ。彼女の奔放さには時に呆れつつも心から愛していたんだろうな。そして、マルグリットにも等しく優しいのがなんとも切ない。「遠い稲妻」とか「私たちは泣かない」が良い曲だった。古川さんは田代さんに比べて甘い声の持ち主のように思うので、ふんわりした衣をまとっているような歌声でフェルセンにピッタリ。

古川さんを舞台で拝見するようになったのは最近のことですが、とても注目している人。これからも色んな作品に出てどんどん活躍してほしい!

 

マルグリット・アルノーソニンさん

はじめて生で観たかもしれない。不幸な境遇で生まれた憎しみの感情、ラストで揺れ動く感情、どれも素晴らしかった。このミュージカルのタイトルはマリー・アントワネットだけれど、マルグリットが主役ですよね。先陣を切って行進する姿もカッコいい。昆ちゃんもどんな感じなのか気になる。

 

オルレアン公:吉原光夫さん

吉原さんが観たくてMA観劇を決めたといっても過言ではない。悪役が魅力的であればあるほど、作品の魅力度が増すと思う!!「私こそがふさわしい」のナンバーがとにかくカッコ良かった。M!のコロレドのナンバー「Wie kann es möglich sein」と似ている気がする。つまり、吉原さんいつかコロレドをやってほしい。オルレアン公は描かれ方こそ悪役ではあるけれど、彼の意思を貫いた結果だと思うから完全には憎めない。マルグリットを利用したのは嫌だけど。

 

ルイ16世佐藤隆紀さん

エリザベートのフランツに続き?「静」のルイ16世。マリーを心から愛し、家族を愛し、国を愛し、ただひたすら大きな器で優しく見守る。そして、王としての威厳を最後まで貫いた。連行される前の演技に泣かされた。濃いメインキャラクターが多い中で目立ちにくい我慢を強いられる役。しかしながらシュガルイの存在感は大きすぎるくらいでした。シークレットチャームもルイだったし、わたしの中のMVPは間違いなく彼です。

 

レオナール駒田さんローズ彩吹さんはチョコチョコ出て来ては暗いシーンのある意味光のような存在。(実際に必要なシーンなのかは疑問であるけれど)

サカケンさんのジャックエベール。小物感が程よく出ている。全く共感できない存在ではあるけれど、この時代こういう人は大勢いたのでしょう。それにしても、アンジョルラスぶりくらいに拝見しました。10年ぶりくらい?声はいつまでもお若いですね。

ランバル公爵夫人、彩乃かなみさん。少しだけソロがあるからなのでしょうか、アンサンブルでもおかしくない。元トップ娘役の方がやるには役不足のような。しかも気になる並びもあるし(そう思うのはわたしだけか)

そして、フラグ立ちまくりの外出からの血まみれドレスの行進は衝撃でしかなかった。この作品には何度もゾッとさせられた。

 

たくさんの衝撃を受けた作品。観に行こうか迷ったけれど、結果的に行って良かった。観終わってからしばらくの間、あまりのインパクトに言葉を失ってしまったくらい。曲が難解で耳に残りにくかったので、ドイツ語版聴きながら想いを馳せる。来年のDVDの発売を待つことにします。